第十二話/怒れよ、シリウス
昨日所長の研究室で大きな叫び声が聞こえたんだ。主はわからない。それよりも耐え難い恐怖に慄いた絶叫が、遠く離れた私の部屋まで聞こえたんだ。所長は『大丈夫』なのだろうか。私は、怖くて不安だ。この恐怖は只者ではない。何かを予知するかのような恐怖だ。世界中が恐怖という空間に支配されてしまう。おかしい。何か、おかしい!
BCM研究所ニューヨーク支所は早朝から慌しい様子であった。若い男性の研究員がある遺書を遺して自殺していたからだ。
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